GRGと金融工学・統計解析

趣味で金融工学や統計解析を勉強しており,このブログでは自分が面白いと思ったことの紹介などをしていきます.色々な方との議論などできたらいいなぁと思います.

「資産運用の本質 ファクター投資への体系的アプローチ」を読んでみた

紹介する本

今回は,資産運用の本質 ファクター投資への体系的アプローチ:アンドリュー・アング(著)を紹介したいと思います.

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金融に興味を持っている多くの方は資産運用について知りたいという思いがあるかと思います.私の場合,資産運用に興味を持ったことが金融工学を学ぶきっかけでした.そんな折,資産運用の「本質」とまで銘打っているこの本がずっと気になっていました.なかなか高価でしたので購入をためらっていたのですが,今回思い切って買ってみました.800ページを超えているので,まだ途中までしか読んでませんが,現時点での感想を残したいと思います.

本の内容

この本の特徴は,著者が経験した事柄や著者の友人などの経験談から私たちが学ぶべきことは何かを問いかけるように文章が記述されているということです.理論だけを知りたい!という方はこの本の購入はお勧めしません.

前半では,ものすごくざっくりまとめると,「平均・分散ポートフォリオの理論から得ることができる教養は何か」ということに関して実際の出来事を絡めて説明を行なっています.どちらかというと,規範的(理論が正しいと仮定すると,投資家はこのように行動すべき)という立場に立っており,そのようにしなかった企業がどのようになってしまったのか,ということを実例を出して説明する部分が多い気がします.しかし一方で,実際の投資家はこのように行動しているという記述的(データから投資家の行動を逆算し,このように実際は行動している,ということを明らかにする.実証的とも呼ぶ)な立場からの説明もなされており,理論が抱えている仮定について注意すべきである旨も示しており,とてもバランスが良い印象を受けました.

何より,文章がとてもわかりやすく,かつ,面白く描かれていることが素晴らしいと感じました.一章ごとに問題提起から始まり,理論や実例を出して,最後に問題に対する考察がなされています.そして,綺麗に次の章へと移っていき,自分の頭の中に新しい情報が入るが,スッキリ整理されて積み上がっている感覚を受けます.

後半では,本のサブタイトルにもある「ファクター」とは何かについて書かれています.まだ私は後半に突入したばかりなので,うまく感想はかけませんが,前半を見る限り期待できそうです.パラパラめくると,ファーマ・フレンチは当たり前として,他にも様々なファクターについて説明がなされているように見えます.おそらく,ファーマ・フレンチに関しても,私が知らないような情報が多量に説明されているのだと思います.期待しながら読んでいきたいと思います.

最後に

前半しかまだ読んでいませんが,購入する価値があるかという疑問を持っている方がいれば,私個人としては間違いなく買いを勧めます.しかし,途中にも書きましたが,理論のみを追い求める人には向かないとは思います.ただ単純に読み物として面白いです.分厚いですが,ハリーポッターが読めるんだったら,間違いなく読めるでしょう.後半を読み終えたら,また全体の評価・感想について書きたいなぁと思います.

ちなみに

他の本も並行して読んでいるので,そっちの本も紹介していきたいと思います.有名な本からマイナーな本まで手広く紹介できたらいいなぁ.